自身が住む不動産(マイホーム)を売却する際に受けられるさまざまな税の優遇措置についてご紹介してまいりましたが、今回がその最終回「特定居住用財産の買換えの特例」について解説いたします。
「3,000万円特別控除」や「10年超所有の軽減税率の特例」と比べると、少々イメージしづらい面がある「居住用財産の買換えの特例」ですが、その仕組みは単純です。
居住用財産の買換えの特例とは、住み替えなどで今住んでいる自宅を売却して新たに自宅を購入する場合、これまで住んでいた自宅を売却した際に発生した譲渡所得を、将来に繰り延べる(持ち越す)ことができるという制度のこと。従って、旧居を売却する際に譲渡所得が発生したとしても、一旦は納税の義務を免れることができるということになります。
持ち越された譲渡所得はいつか清算する必要があります。それがいつかというと、新居を売却するタイミングになります。新居を売却して更に譲渡所得が出た場合は、旧居から得られた譲渡所得と合算して譲渡所得税が課されてしまうことに。
しかし、新居で譲渡所得が発生しない場合は、旧居売却による譲渡所得は新居売却による譲渡損失と通算されるため、旧居から得られた譲渡所得の圧縮につながるという可能性もあるわけです。旧居売却によって譲渡所得が発生した場合にその所得を一旦繰り延べるメリットはそこにあります。
とはいえ、本特例は「3,000万円特別控除」及び「10年超所有の軽減税率の特例」との併用ができません。本特例の適用を受けるべきか他の2つの特例の適用を受けるべきか、メリットが大きいと思われる方を選ぶ必要があります。
どのような場合に「居住用財産の買換えの特例」を選択すべきかというと、例えば旧居の譲渡所得が3,000万円を大きく超えてしまい、3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率の特例を併用しても、多額の納税が見込まれるような場合が考えられます。納税額が多すぎて新居の購入に支障をきたすような場合は、本特例の適用を受けることも選択肢のひとつと言えますが、既に説明したように本特例は税の繰り延べに過ぎません。つまり、本特例の適用を検討すべきケースというのは限定的ということですね。
1. 個人が所有する自己の居住用財産(別荘を除く)の譲渡であること
2. 譲渡する相手が、配偶者や直系血族など特別な関係にないこと
3. 前年または前々年に本特例の適用を受けていないこと
4. 居住期間が10年以上かつ、売却した年に1月1日において、売却した居住用財産の所有期間が10年を超えていること
5. 売却代金が1億円以下であること
前項でも触れましたが、「3,000万円特別控除」及び「10年超所有の軽減税率の特例」と併用することができません。
-----------------------------
当社では、ファイナンシャルプランナーによる相続相談や資産設計に関するご相談から、不動産の購入・売却までのサービスをワンストップで提供しております。お気軽にご相談ください。
また、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいただいたお客様を対象に、仲介手数料の20%及び消費税相当分の割引をさせていただくキャンペーンも実施しております。
お問い合わせフォーム://www.passage-asset.co.jp/contact/
TEL : 0422-90-1488