前回のコラムでは、相続発生後1ヶ月以内という早い段階での対応が求められる手続きについて説明いたしました。今回は、比較的時間的余裕のある相続関連手続きについてご紹介しましょう。
相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産がありますが、相続では、マイナスの財産の方が多い場合は相続放棄、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合は限定承認という方法を選択することができます(「
相続税の対象となる財産とは?課税対象を知って賢く節税・相続対策」参照)。この相続放棄や限定承認の申述を行う期限は、相続発生を知った日から3ヶ月。つまり、相続人が適切な相続方法を選択するためには、それまでに被相続人がどのような財産を残したのかを調査しなければなりません。
・遺言書の確認
基本的に、相続は遺言書の内容に従って行われます。つまり、遺言書の有無によって相続の手続きは異なるため、まずは遺言書を確認するようにしましょう。
ちなみに、相続人全員の合意が得られれば、遺言に基づかない遺産分割を行うことも可能。「基本的に」と表現したのはそのためです。
・遺言書の検認
遺言書を発見したら、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して検認の申し立てを行います。検認とは、家庭裁判所において相続人などの立会いのもと、遺言書を開封してその内容を確認する手続きのこと。自筆証書遺言と秘密証書遺言に対して必要な手続きとなります。公証人によって作成される公正証書遺言は、偽造されたりや改ざんされたりする恐れがないため、検認は必要ありません。
・相続人及び相続財産の調査、並びに遺産分割協議
遺言書がなかったり遺言書とは異なる方法によって遺産分割を行ったりする場合は、相続人による話し合いを経て遺産分割の方法を決めなければなりません。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議を開催するには、誰が相続人にあたるのかを調査する必要があります。
そして、遺産分割協議を行うにあたり必要になるのが、議題となる相続財産を把握すること。預貯金に関しては通帳を、不動産に関しては固定資産税の課税明細書を確認することで、財産の状況を把握することができます。
相続人と相続財産を把握することができて初めて、遺産分割協議を開始することができます。遺産分割協議にはすべての相続人が参加する必要があり、相続人全員が揃わない協議は無効となります。
とはいえ、遺産分割協議は相続人が一堂に会して行われる必要はなく、メールや電話などによる協議も認められています。遺産分割方法がまとまったら、相続人全員の署名押印がなされた遺産分割協議書(後述)を作成します。
被相続人の所得は、被相続人に代わって相続人が確定申告を行います。この手続きを所得税の準確定申告といいます。準確定申告の期限は、相続発生を知った日の翌日から4ヶ月以内。被相続人が個人事業を営んでいるような場合は、準確定申告の手続きが必要になります。
・相続税の申告
相続税の申告期限は相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内。相続税の申告は、次のような場合に必要となります。
・相続財産の評価額が相続税の基礎控除額を超える場合
・相続税の特例を利用する場合
相続財産評価額が相続税の基礎控除額を超えない場合は、申告手続きは必要ありません。
相続税においては、3,000万円と相続人一人につき600万円の基礎控除が適用されるほか、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額(それぞれ500万円×相続人の数)などの制度が用意されているので、これらの制度を上手に利用するようにしましょう。
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