購入する物件の選定から家賃設定に至るまで、賃貸経営に関するすべてのことを自分で決められるのも、不動産投資の醍醐味のひとつではないでしょうか。しかし、一定程度の収入さえ得られれば、賃貸経営など誰かに任せてしまいたい!そう考える不動産オーナーがいることも確かです。少なからず、そのようなオーナーさんはサブリース契約を結んでいることでしょう。しかし、サブリース契約を巡っては多くのトラブルが報告されていることも事実です。今回のコラムでは、サブリース契約を締結するにあたって注意しておいていただきたい点をご紹介いたしましょう。
サブリース契約とは、サブリース会社が建物一棟または区分マンションの一室を一定の家賃(本来の家賃の80%~90%程度)で一定期間借り上げるというもの。一定期間借り上げることを条件に、サブリース会社は安い家賃で物件を借りることができ、不動産オーナーには一定期間の収入が保証されるという、双方にとってメリットが生まれるのがサブリース契約の特徴です。サブリース会社はオーナーから賃借したアパートやマンションを、その賃料より高い賃料で第三者である入居者(転借人)に転貸(また貸し)します。そこで生まれた差益が、サブリース会社の収入源ということになります。
しかし、「○○年一括借り上げ」などというウマイ話があるのだろうか?そう疑問に感じたことはありませんか?そうした不動産オーナーにとって都合の良いフレーズが誇張される傾向にあるサブリース契約。契約に先立ち注意も必要になります。
■注意点1 - 割高なアパート建築費用
アパート建築も含めたサブリース契約の場合、空室リスクなど本来サブリース会社が負うべきリスクに相当する額が、建築費用に上乗せされて請求される恐れがあります。そうした不用な請求を受けることがないよう、業者から送られてきた見積書を丁寧に確認することをおすすめします。相場が分からなければ、見積価格について近所の工務店さんに相談してみると良いでしょう。
■注意点2 - 免責期間
サブリース契約には「賃料免責期間」というものが規定されていることも。これは、サブリース会社が家賃収入が得られない間の空室リスクを、実質的に不動産オーナーに転嫁するもの。一般的な賃料免責期間は30~180日なので、長ければ半年もの間、オーナーは無収入状態に甘んじなければなりません。
■注意点3 - 解約の難しさ
原則として中途解約ができないのも、サブリース契約の特徴のひとつ。契約満了時の解約も難しいと言わざるを得ません。オーナーから見てサブリース会社は賃借人です。借地借家法の適用を受けるため、賃借人が契約更新を希望する以上は、その希望を拒絶することは難しいのです。
このように、サブリース契約にはいくつかの注意点があります。サブリース契約にどのような落とし穴があるのか、それを事前に把握してひとつひとつをクリアにしたうえで、納得のいくサブリース契約を結べるのであれば、それもひとつの選択肢だと思います。