カテゴリ:物件調査
2019-07-09
自宅の売却をご検討中だというお客様宅を訪問、実際の立地や建物の状態を確認させていただきました。当社では、不動産査定を行うサービスを提供していて、不動産査定のご依頼はインターネットにて受け付けております。よって、ご依頼の際にいただくことができる情報は限定的。詳細なお話をさせて頂くためには、現地を訪問しなければなりません。現地に足を運んで、地勢や接道状況、建物の状態、敷地の形状などを確認する必要があるからです。その際に、住宅診断士でもある私は、建物の構造上の問題の有無なども簡易的にチェックします。
今回も、建物の隅々まで丹念に調べ上げて調査は終了。築年数の割に大変状態が良く、基礎の劣化も見られませんでした。とても立派な建物なので、それをお客様にお伝えしながら、話は内装や造りの特徴にも及び盛り上がったところで、奥様がポツリとひと言。「主人と私の思い入れが強いこの建物を使ってもらえる人に買ってもらいたい」。
これまではスクラップアンドビルドが基本でしたが、近年では中古住宅の価値が見直され始めました。古くなったら壊すのではなく、メンテナンスしながら長く使う。そのような方向に、住宅に対する考え方がシフトし始めたところです。この立派な建物も、そのような考え方を持つ人に購入してもらいたい、そんな私個人の考え方をお伝えしたところ、とても喜んでいただけました。聞いたところによると、以前話を持ち掛けた不動産屋には30年も経った建物は使い物にならないと、現場を見ずして切り捨てられたと。それがショックだったとのこと。
中古物件を見ると、どうやったらこの物件を最大限に活用できるか?私はまちづくりに関わる仕事をしていることもあり、まずはそのように考えます。不動産投資家としてしかり、ボロ物件をいかにして再生するか。他の投資家が敬遠する物件への投資、つまりひずみを利用した投資を得意としています。
所有から共有へ、新築から中古へと、若い人から考え方が変わってきているのは感じますが、それが多くの層に広まるのはいつになるか。古さを愛でる、古い「かわいさ」がが理解される、そんな時代が早く訪れるといいですね。そのためには、まず不動産会社が中古住宅に対する考え方を変えなければなりませんね。