所得税や住民税などにおける税制面での優遇が受けられる個人型確定居室年金「iDeCo(イデコ)」。興味を持ったり既に加入したりしている方も多いのではないでしょうか。ひとことでiDeCoと言っても、運用商品は会社によってラインナップが異なります。そんな異なる商品ラインナップの中において、「バリュー株」なる単語を多く目にするのも、iDeCoが年金たる目的を持つためでしょう。なぜiDeCoでは、バリュー株に投資する商品が多く採用されているのでしょう?
バリュー株は別名「割安株」ともいいます。ある会社の株価が、その会社の利益や資産の状況に対して安いと判断される銘柄が、バリュー株・割安株と呼ばれているのです。では、その会社の株価が割安かどうか、どうやって判断するのか?それは、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・ROE(自己資本利益率)などの指標を用いた計算によって導き出されます。
PER(Price Earning Ratio・株価収益率)とは、株価に対する会社の発行済株式一株当たりの収益で、以下の式に従って算出することができます。
PER=株価÷一株当たりの純利益(純利益÷発行済株式総数)
投資価値を判断する材料のひとつとして用いられ、この値が低いほど割安と判断されます。
PBR(Price Book value Ratio・株価純資産倍率)とは、株価が一株当たりの純資産の価額の何倍かを表したもので、次の式によって算出することができます。
PBR=株価÷一株当たりの純資産(純資産÷発行済株式総数)
この値が小さいほど、つまり、株価に対する純資産が多いほど、割安であるといえます。
ROE(Return Of Equity・自己資本利益率)とは、会社が自己資本をいかに効率的に利益に結びつけているかを表す指標で、次の式で表すことができます。
ROE=当期純利益÷自己資本
ROEの値が大きいほど、会社は効率的に利益を上げているということができます。
株価に対する収益が好調で試算も潤沢、その上効率的な経営で収益を伸ばしている会社の株価の評価が低いのは、市場がその銘柄の真の価値に気付いていないがゆえ。市場がその価値に目を付けたとき、その銘柄の株価は上昇を始めるのです。それがいつかは分かりません。ただその日が来た時のために、投資家はバリュー株に投資するということですね。
ところで、バリュー株がiDeCoなどの年金を目的として運用する商品に向いているとされるのはなぜか?
元本をいかに減らさないようにするか。これが、老後資金の蓄えに向けた運用の鉄則です。その点、バリュー株はどうでしょう。真の価値に対する株価が低いバリュー株は、将来的に値下がりする確率は低いと考えられ、中長期的に保有することで、むしろ値上がりすることすら期待できます。そのような特長から、バリュー株への投資はiDeCoだけでなく一般の投資家にもおすすめしたい投資手法のひとつ。
不動産投資もいいですが、バリュー株をいくつか、あなたのポートフォリオに加えてみてはいかがでしょう。