先にご提案した土地の活用法であるアパート・マンション経営や駐車場経営は、投資に精通している人でなくても思いつくであろうオーソドックスな手法でしたが、3つ目の活用法として高齢者住宅の建設について考えてみたいと思います。
土地を高齢者住宅用地として活用する場合、土地のオーナーは、一般的には次のような方法で家賃収入や地代収入を得ることになります。
・事業者に土地と建物を賃貸する
所有する土地にオーナー自らが建設した高齢者住宅を、介護事業者などに賃貸します。オーナーは運営にかかわる必要がない一方で、安定した収益を上げることができます。
高齢者住宅の建設費用はオーナーが負担しなければなりませんが、アパートやマンションと異なり、高齢者住宅の建設にはさまざまな補助金の適用を受けることができます。
例えば東京都の場合、サービス付き高齢者住宅を整備する事業者に対して、次のような補助が支給されます。いかがでしょう?この内容を見ると、検討してみる価値があるように思えてきませんか?
新築:建設費の10分の1(上限120万円/戸)
改修:改修工事費の3分の1(上限150万円/戸)
次に、土地オーナーが高齢者住宅で収入が得られる仕組みをご説明しましょう。
・土地だけを事業者に貸す(定期借地権方式)
上記のように高齢者住宅の整備に対する補助金が充実しているため、高齢者住宅を建てたい事業者は少なくありません。その一方で、事業用地を用意することができない事業者も少なくないでしょう。そのような事業者に使っていない土地を貸せば、土地オーナーは地代収入を得ることができます。そして、事業者にとっては高齢者住宅の建設用地を確保することができ、まさにウィンウィンの関係に。
・等価交換方式
土地を事業者に提供して事業者が建物(高齢者住宅)を建てます。土地の価格と完成した建物の価格を勘案して、お互いの資金提供割合に応じて、高齢者住宅の売上を分配するというもの。定期借地権方式同様、自分で資金を準備する必要がないというのがメリットですが、土地の一部を手放さなくてはならないというデメリットも考慮する必要があるでしょう。
これらいずれかの方法を取ることで、高齢者住宅の運営自体は事業者に任せることができます。であれば、土地の活用法として「高齢者住宅」を選択肢の一つとして検討してみる余地はあるのではないでしょうか。