スーパーで売られている商品の多くは「定価」や「メーカー希望小売価格」といったものが設定されています。しかし、不動産には定価なるものは存在しません。不動産には「唯一無二」という特徴があります。つまり、ひとつとして同じものがないのです。そのことも、不動産に定価が存在しない理由のひとつではないかと考えられます。では、不動産の値段はどのようにして決められるのでしょう。
不動産に限らず物の本質的な価値を決めるには、その物を多面的に考える必要があります。そして、物の価値を測るには価格の三面性といって、次の3つの要素が用いられるのが一般的です。
・費用性
・市場性
・収益性
そして、不動産もこれら3つの視点、原価法(収益性)・取引事例比較法(市場性)・収益還元法(収益性)によって評価され、価格が決められることになります。
原価法とは、同じ建物を再度建築した際にかかる費用(再調達原価)に対し、建築後の経過年数と、設備や間取りなどの状態に応じた価格補正(減価修正)を行うもの。
取引事例比較法とは、過去における取引事例の中から比較的条件の近い事例を選択し、比較することによって価格を見積もる方法です。
収益還元法は、当該不動産が生み出すであろう収益(総収益から総費用を控除したもの)を求めることで、不動産の価値を算定する方法です。
不動産の価格は、可能な限りこれら3つの考え方を採用して決めらます。とはいえ、一般の人がこれらの手法をもとに不動産の価値を試算するのは難しいものです。不動産の売却を検討している人は、不動産会社や不動産鑑定士に相談してみると良いでしょう。