不動産投資と密接な関係にある減価償却費という経費について耳にしたことがある方もいるでしょう。
建物などの資産の価値は時がたつにつれて減っていくのが一般的で、そのような資産を減価償却資産と呼びます。減価償却資産と呼ばれる資産を取得する際、その全額を経費として計上することはできず、その資産の使用可能期間を通じて分割して経費計上していく手続き(減価償却)が必要になります。その計上された経費のことを減価償却費といいます。ちなみに、資産の使用可能期間のことを耐用年数といい、資産ごとに財務省例にて決められています(法定耐用年数)。
例えば、木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は47年と決められています。そして新築の建物を購入した場合、建物の価格を法定耐用年数で除した額(定額法)を、毎年減価償却費として計上していくということになります。
不動産投資においては、法定耐用年数を超えた築古物件に投資している投資家も多くいます。そのような場合の減価償却費はどうなるのか?法定耐用年数を超えた建物を購入した場合、減価償却費を計上することができないのかというと、そうではありません。
築30年の木造アパートは法定耐用年数を8年経過していますが、このアパートの耐用年数は次の式に従って算出されます。
法定耐用年数×0.2 = 4年(小数点以下切り捨て)
よって建物部分が1000万円の木造アパートを購入した場合は、4年に渡って250万円ずつ償却することが可能。
減価償却費には実際の出費を伴わないという、他の経費とは異なる性質を持っています。とはいえ、経費には変わりありません。つまり、手元のお金を減らすことなく所得を抑えることができ、所得税の圧縮効果が期待できるわけです。このような性質をもつ減価償却費をうまく利用すれば、安定した不動産経営にもつながります。
物件を購入する時だけでなく物件を購入した後も、この減価償却を意識した不動産経営を続けるよう心がけると良いでしょう。
不動産投資とは切っても切れない関係にある減価償却費ですが、自分が所有する物件の減価償却費をご存知ない方も多いのではないでしょうか。減価償却費とはどのような性質の経費なのか、その概要をご説明するとともに、その計算方法や不動産投資における減価償却費の考え方についてご紹介いたします。これを、ご自分が所有する物件の減価償却費を把握する機会にしていただけたらと思います。